米朝共同声明

シンガポールでの 米朝首脳会談 の 共同声明 については、私も正直、少しがっかりした。
理由は、やはり「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」が明文化されなかったことだ。

米朝首脳会談の前に、トランプ大統領が『最初の1分間で、金委員長の真剣さが分かると思う』
と言い、『直ぐに席を立つこともあり得る』というようなことを言っていたので、もう少し厳しい内容になると思っていた。
ポンペイオ国務長官とボルトン大統領補佐官も同行していたし。

米朝首脳会談は非常に大きな出来事で今後の行方が注目されるので、これから専門家の方々がいろいろと解説されると思いますが、また例によって私の勝手な思い付きを綴ってみます。

「日本人拉致」の問題は日本にとって最大の問題と言えますが、冷静に考えてみると、米朝共同声明にこのことを記載するのは、確かに『少し違うのではないか』という感がある。

それよりも、トランプ大統領が、これまでに米国議会演説、国連演説を行い、世界中に「日本人拉致」の問題を発信して日本に協力してくれたこと、そして日本で拉致被害者家族と面会してくれたこと、さらにこの度の米朝首脳会議でも議題に載せ、金委員長に『拉致問題は解決済みだ』と言わせなかったことを評価すべきだと思う。

やはり、拉致問題は日朝首脳会談で解決すべき問題であり、その道筋を作り、側面から強く応援してくれているトランプ大統領には感謝したいと思う。

zakzakから

自分なりに米朝共同声明の内容を見て、気になるところを勝手に番号を付けて書き出してみました。

1.トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を約束した。
2.金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化を約束した。
3.米国のポンペイオ国務長官と北朝鮮の高官が更なる交渉を可能な限り速やかな日程で行うことを約束する。

米朝首脳が歴史上初めて会談するのだから、1は当然のことのように見える。
これがなければ、北朝鮮は話し合いに応じてこないだろう。
しかし、「安全の保証」というのは、金王朝の存続の支援を約束するものではなく、北朝鮮を米国の傀儡政権にするということでもないだろう。
内政干渉はせずに、独立国として認めるということだと思う。
ただ、北朝鮮内の「完全な非核化」を進めないのであれば、共同声明の約束を守らなかったことになるので、当然にこの安全の保証は消滅するだろう。

2について。
英語の原文では、こういう意味になると思う。
朝鮮半島」には、韓国も当然含まれるから、韓国に入港する米空母なども対象だと、将来、北朝鮮が主張する根拠にもなるだろう。

3について。
まぁ、初めての会談だから一気に片が付くことはないとは思っていたが、北朝鮮の時間稼ぎに使われる懸念が残る。
北朝鮮が約束に反する行動をとれば、米国が軍事的オプションを採ることは伝えているだろうが、過去5回の約束を反故にした事実を考えれば、成り行きを注視しなければならない事項だ。

トランプ大統領からすれば、この度の共同声明の署名で、少なくとも当分の間、北朝鮮の核実験は停止し、ICBM等のミサイルが、米本土近辺、ハワイやグアム島、そして在日米軍基地周辺などに発射されることもなくなって安心できるだろう。

金委員長からすれば、いつ米軍に空爆されるか分からない不安な状態から、暫くの間解放されて、こちらも安心だろう。
そして、核実験等の動きを見せず、ミサイルも発射しなければ、のらりくらりと交渉を進めながら、隠れて核開発等を続けられると考えているだろうと思う。

ところで、トランプ大統領が突然、米韓合同軍事演習を当面中止すると言ったのは、理解し難いことで、問題だと思う。

米朝首脳会談の前に「虎ノ門ニュース」を観た。
6月11日(月)は青山繁晴さん、6月12日(火)は百田尚樹さんと和田政宗さんに加え、シンガポールの現地から有本香さんが出演していた。

青山繫晴さんのお話では、『北朝鮮の完全な非核化には、専門家が10年~20年を要すると言っている。それは、リビアの時にはまだこれから核兵器を造るという段階だったのに対し、北朝鮮の場合は、正確な核兵器の数も分からず、また実戦配置している核が6~7発あるが、それ以外の核は国内各地の地下に隠しており、また核兵器の製造等に関わる膨大な設備・機器も国内各地に分散しているからだ』という内容だったと思う。

一方、翌日の百田尚樹さんは、『そんなもん、もっと短い期間で核廃棄・非核化はできるわ』という趣旨の話をされていたと思う。

一見、お2人が真逆なことを言っておられるように聞こえるが、これは前提が異なるということで、どちらも正しいと思う。

つまり、仮にIAEAが査察を行うにしても、北朝鮮が非協力的ですべてのリストを提示せず、核施設等の一部を隠蔽する意図があれば、膨大な労力と時間を要するし、逆に非常に協力的で自主的に核廃棄を進める姿勢をとるのであれば、短期間に非核化を実現できるということだろう。

過去の経緯を考えると余り楽観視できないし、例えば中国が経済支援を材料にして制裁破りを行えば、日本は今後も長期にわたって北朝鮮の核とミサイルの脅威に晒され続けることになってしまう。

今後、日朝首脳会談が拉致問題を始め、核・ミサイル問題の早期の解決に繋がるように期待したい。 “米朝共同声明” の続きを読む